こんにちは。今日も確定拠出年金について学んでいきましょう!
2022年5月に、企業型DCからの脱退一時金の受給要件が改正され、緩和されました。
法改正前までは、企業型DCからの脱退一時金は、年金資産額(個人別管理資産)が1.5万円以下の人に限定されていてたんです。
どのように変わったのか、確認しましょう!
企業型DCの脱退一時金の受給要件の緩和|脱退の条件
2022年5月の法改正後、企業型DCからの脱退一時金は、個人別管理資産の額が1.5万円を超えている場合でも請求できるなど、対象者が拡大されました。
具体的な要件を確認していきましょう!
個人別管理資産が1.5万円以下の場合
年金資産額が1.5万円以下の場合は、法改正前と変更はありません。
具体的には、次の1〜3を全て満たす人です。
- 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと
- 個人別管理資産の額が1.5万円以下であること
- 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと
個人別管理資産が1.5万円超の場合(2022年5月から追加)
2022年5月からは個人別管理資産が1.5万円超の場合でも、次の条件1〜7を全て満たす場合は、脱退一時金の請求が可能となりました。
- 企業型DC加入者、企業型DC運用指図者、iDeCo加入者及びiDeCo運用指図者でないこと
- 最後に企業型DCの資格を喪失した日の翌月から6ヶ月を経過していないこと
- 60歳未満であること
- iDeCoに加入できない者であること*1
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと*2
- 障害給付金の受給権者でないこと
- 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること 又は 個人別管理資産の額が25万円以下であること
iDeCoからの脱退一時金の要件 と似ていますね!
企業型DCからの脱退一時金の受給要件緩和の影響
法改正により、企業型DCから脱退一時金を受給できる人の範囲が拡大されました。
法改正前に、脱退一時金を請求できなかった次のような人でも、上記のiDeCoの加入者になれない等の要件を満たす場合、今後は脱退一時金を請求できます。
- 個人別管理資産が1.5万円を超えていても、掛金拠出期間が5年未満の人
- 日本の会社に外国籍で入社し、企業型DC加入後に帰国してしまう人
- iDeCoに加入できず、60歳未満で、個人別管理資産が25万円以下の人
なお、外国籍の人が脱退一時金を請求する場合、iDeCoに加入できないことの証明書類の準備には時間がかかるため、早めの準備が必要です。*3
脱退できるのは資産少額の短期退職者に限られるなど、日本国民だと事実上、ほぼDCから脱退できないのは法改正後も変わらないですね。
あなたが加入している企業型DCでの取り扱いについての詳細は、お勤め先の企業型DCの照会窓口へお問い合わせしてみてください。*4
*1:「iDeCoに加入できない者」とは次の人です。
①国民年金第1号被保険者であって、保険料の免除を申請している、又は、生活保護法による生活扶助を受給していることにより国民年金保険料の納付を免除されている方、②日本国籍を有しない海外居住の方
*2:法令上の規定は「20歳以上65歳未満」ですが、脱退一時金を受給するためには「(3)60歳未満であること」にも該当する必要があるため、「20歳以上60歳未満」と記載しています。
*3:外国籍の海外居住者のiDeCoからの脱退手続き の場合も同様です。
*4:この記事の記載内容は、法改正の内容や、その影響について、一般的な内容を記載しています。